岩手医科大学医学部内科学講座 脳神経内科・老年科分野

医局紹介Our Factory

私たちの信念 Our Belief

すべての科学的研究は
ベッドサイドから

All true scientific research in Medicine stem from the bedside

established 1982 established 1982

岩手医科大学内科学講座脳神経内科・老年科分野は、1982年8月1日に東儀英夫教授が「神経内科学講座」を開設して、岩手県における神経学の礎を築かれました。当時は週一回の外来と病床数14床でのスタートでしたが、着実に医局員が増え徐々に大きくなりました。発展は大学のみならず、県立病院をはじめ各地の基幹病院に脳神経内科医を派遣し、地域医療、特に人口過疎地の神経学の啓発や医療水準の向上にも大きく貢献されました。

2003年5月1日、第二代教授として寺山靖夫教授が就任しました。「すべての科学的研究はベッドサイドから」の信念のもと、神経学の研究と臨床を実践し、多くの研究発表を指導されました。2008年4月、当学内科学6科は内科学講座として統合され、「神経内科学講座」は「内科学講座神経内科・老年科分野」となりました。2011年3月11日に発生した東日本大震災の甚大な被災をも乗り越えて、岩手県の神経学を広く担う現在の医局の原型が築かれました。

2019年4月1日、第三代教授として前田哲也教授が就任しました。新体制となって間もない9月、岩手医科大学附属病院は矢巾町に移転し、旧附属病院は附属内丸メディカルセンターへと進化を遂げました。講座および診療科名は「脳神経内科・老年科」に統一されました。すでに岩手の神経学は私たちの信念のもと新たな火蓋が切られています。神経学のさらなる成熟に加え、次世代使徒の育成にも全力で取り組んでいます。

教授挨拶

前田哲也 教授
前田哲也 教授

『岩手神経学』の歴史は1982年に始まります。神経学の歴史は現代的なEvidenceの構築ではなく先人たちによるExperienceの蓄積です。神経症候学こそ神経学の歴史そのものであり、有意な病的現象は常にベッドサイドで捉えられてきました。臨床診療では症候診断、病巣診断、臨床診断により近年のEBMに照らした治療計画へ結びつけます。この過程で理解しきれない現象は実験室に持ち込み、生理学、生化学、薬理学、病理学、分子生物学などを尽くして研究し病態に迫ります。より妥当性の高い論理的解釈を発見し創造し、臨床研究へ還元して普遍性の高い治療方法への昇華に導く。それこそが私たちの『岩手神経学』の信念である“All true Science stem from the Bedside”です。故きを温ねて常に新しきを敏感に知り学び、行うべくを行うことが神経学研究には重要であると私は考えています。

超高齢化日本は地域医療こそその渦中にあり、脳卒中、認知症、Parkinson病などには老年医学を踏まえた適切な神経学が求められます。一方で多発性硬化症や急性末梢神経疾患、頭痛疾患など、生産世代や若年世代にも神経学が担う疾患は及びます。以前は治療方法がない筆頭であった神経学は現在その概念を突破しつつあります。私たちはStroke Care Unitを運営して24時間体制の脳卒中治療を行い、基幹型認知症疾患医療センターとして診療連携、Parkinson病のデバイス補助療法には脳外科医や消化器科医とのチーム医療、神経免疫疾患に対する疾患修飾療法や血液浄化療法などをインテンシブに計画し、新規片頭痛予防薬を用いた診療など、現代神経学の最先端に位置する診療を遅延なく実践しています。EBMはもとより、歴史ある岩手神経学だからこそできる『知恵』の継承、すなわちExperienceに基づく奥行きのある診療も私たちの自負するところです。

私は研究や診療と同時に使徒育成も重要と考えています。チーム医療や研究グループを統率するリーダーシップ教育、ときには厳しいアドバンス・ケア・プラニングにも向き合う対応力、そして自己発信のための学会および研究発表、これら全てに全力で取り組むことが私の使命です。明るく気概に満ちた医局員や地域医療を支える医局出身医師は家族も同然と思っており、多くの若き医師が岩手神経学の門を叩いてくれるよう、一枚岩となって創造したいと考えています。

医局概要

岩手医科大学は先行するキャンパスおよび基礎講座の移転に続いて、2019年9月21日、臨床講座および附属病院が矢巾町へ移転しました。同時に旧附属病院は附属内丸メディカルセンターへと発展を遂げ、新たな診療体制および研究体制が始まりました。私たちは日本で最も広い県土に加え近隣県の一部をも含む広大な医療圏を支えるため、40年余りにわたり、脳神経疾患の診療および研究に取り組んできました。私たちのリサーチターゲットは公衆性がより高い、脳卒中、アルツハイマー病などの認知症性疾患、パーキンソン病をはじめとする運動障害疾患、多発性硬化症などの神経免疫疾患、頭痛疾患、てんかんなどです。

また、私たちは学生教育や神経内科専門医を目指す若手医師の育成にも取り組み、これまでにも数多くの脳神経内科医を輩出してきました。他にも総合内科専門医、脳卒中専門医、認知症専門医、頭痛専門医などの指導を行っています。超高齢化社会が現実となり、高齢者特有の神経疾患が増加する日本においては、脳科学のみならず老年医学にも精通した脳神経内科医が必要不可欠です。医局員一同、未来の医療を切り開くために全力で取り組んでいます。

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